八戸市立市民病院は『市民の生命と健康を守るため、常に医療の質の向上に努め、患者中心の恕[ おも] いやりのある医療を提供します』をモットーに、八戸市の中核病院として“患者中心の医療” に取り組んでいらっしゃいます。
今回は当病院の臨床工学科での医療機器の管理として当社の「設備管理システム」を導入いただいた、同科の技士長である野沢さまに、設備管理システム導入の背景と利用シーン、
そして将来展望についてうかがいました。
臨床工学科 技士長(臨床ME 専門認定士)野沢 義則さま
八戸市立市民病院は『市民の生命と健康を守るため、常に医療の質の向上に努め、患者中心の恕[ おも] いやりのある医療を提供します』をモットーに、八戸市の中核病院として“患者中心の医療” に取り組んでいらっしゃいます。
今回は当病院の臨床工学科での医療機器の管理として当社の「設備管理システム」を導入いただいた、同科の技士長である野沢さまに、設備管理システム導入の背景と利用シーン、
そして将来展望についてうかがいました。
臨床工学科 技士長(臨床ME 専門認定士)
野沢 義則さま
主に医療機器の管理です。シリンジポンプや輸液ポンプ、人工呼吸器、パルスオキシメータなどの医療行為で使用する機器(ME 機器) が対象です。患者さんの生命に関わる、間違いの許されないシビアな業務です。
もともとはACCESS でDB を作って管理していたのですが、複数の利用者での使用や、アプリケーション自体の安定性の不安、そして平成19
年の医療法の改訂により、きちんとしたシステムの導入を検討しました。
シリンジポンプ:高精度微量の輸注をおこなう医療機器
パルスオキシメーター:血中酸素飽和度や脈拍を測定表示する医療機器
ひとつは当時少なかったWeb システムである点ですね。
Internet Explorer
などで動くシステムは操作が覚えやすく、また専用の操作用端末を購入せずに済む点を重視しました。
もうひとつは汎用性です。ほとんどの製品が医療機器に特化した「管理システム」として完結したものばかりだったのですが、我々は管理に加えて臨床工学技士の業務記録や集計も行っているため、業務の分析にも使えるシステムを探していました。
この結果、日立産業制御の「設備管理システム」を導入しました。
機器管理で一番大変なことは情報の収集です。日々の業務と機器の状態をきめ細かく記録することが重要なのですが、これが非常に手間がかかります。
そこで、まず入力の効率化を図り、PDA
やタブレット端末、バーコードリーダなどを組み合わせた運用を始めました。
端末に表示される所定項目を埋めていくだけなので、担当者がすばやく操作を習得でき、それまで記録していなかった細かい情報や状況も記入するようになりました。
この入力効率向上のための取り組みは現在も続いており、カメラ付きのタブレット端末やBluetooth 接続のバーコードリーダの導入、そして他社製の報告書作成ツールとの連携も実現しました。このように“他のツールとの連携”
ができると、活用の幅が膨らむので本当に便利ですね。
PDA:携帯情報端末(Personal Digital Assistant)
図1. 医療機器管理システムと支援ツール
そういえば、2011 年の震災時に節電対策でサーバを止めて、紙による情報収集に戻ってみたのですが、まったく仕事になりませんでした。それほど業務に浸透しているのだと思います。
メインの医療機器DB の他に、簡易的なDB を作れる「一般台帳」という機能をよく使っています。例えば、管理は一台単位で管理しているのに対し、調達や外注修理時の事務手続きでは複数台をまとめて処理しており、ズレがあります。これを吸収するために[ 調達/ 外注修理情報] を一般台帳でDB 化し、既存の医療機器DB
とひも付けることで、漏れ無く多角的な管理ができるようになりました。
また、医療機器の枠にとらわれず、病院全体の資産(他部署の大型の検査装置や病院の車両など)をこの「一般台帳」に登録して、さまざまな情報とひも付けて、分析や評価に活用しています。このように情報収集の体制が整ったことで、集めた情報を活用するための下地ができあがりました。
まずは貸し出し管理に本システムを利用しています。現在、臨床工学科では先ほど紹介したシリンジポンプや輸液ポンプ、人工呼吸器、パルスオキシメータなど約1,500 台を貸し出し/
管理しています。
委託職員や補助員など、システムに不慣れな利用者も多くいるので、操作のしやすさを重視しています。管理端末を使って持ち出し/返却の手続きをする際にも、バーコードリーダの活用や、操作画面(タッチパネル)のインターフェースを大きなボタン画像にするなど、簡単な操作となるように心がけています。
故障件数や故障箇所の情報をはじめ、機器ごとの修理の回数、修理に出してから帰ってくるまでの期間、故障原因などさまざまな情報をデータベース化しています。
設備管理システムとは別に、他社製の解析ツールや帳票生成ツールも使っているのですが、ODBC
など一般的な方法で連携ができる点が便利です。
例えば、月報などの報告書制作では、①データベースの登録情報を②解析ツールで故障傾向や修理状況などを分析し、③帳票ツールで基本フォーマットに流し込む。これだけで、あらかたの書式が整ってしまうのです。
先に紹介した「一般管理台帳」機能と組み合わせれば、ほとんどの報告書や帳票生成に応用できるので、作業の効率化が進められます。こうして生じた作業時間の余裕を使って、また別の作業の効率化を検討することもできます。
ODBC:Open DataBase Connectivity
図2. 機器管理データベース連携例
今後も使いやすさと効率化を進めるため、いろいろな改良を予定しています。
やはり、高精度な医療機器管理データベースが完成しても、それを使う側の配慮ができていないとダメですね。
今考えているのは、現場の看護師向けのシステムです。現場で医療機器の状況を調べる場合、病院全体のデータから検索すると、切迫した状況ではそれすら負担になりかねないので「病棟/
診療科単位ではじめから絞り込み」「操作簡易化のための初期値や入力支援」を備えた簡易操作版で、すばやく必要な情報を入手できる仕組みを提供するつもりです。
はい。これも細かいことですが、すでに修理/ 返却済み機器の問い合わせがあると、お互いが気まずい思いをするので、これで気持ちよく仕事ができると考えます。
また、医療機器には添付文書という資料があるのですが、この種類も枚数も非常に多く、必要なときにすぐ参照することが困難でした。そのため、この資料をPDF
で管理し、手元のタブレット端末から検索・参照することで利便性を向上させることも考えています。タブレット端末があれば、動画を使ったガイダンスの参照や利用もできるので、その点でもさらに便利になると思います。
このように改良を積み重ねても、まだまだ業務は多忙でやるべきことは多いです。でも、少しずつでも業務改善を進め
ることで、できることと範囲が増えると考えています。
八戸市立市民病院は市民の生命と健康を守るため、
常に医療の質の向上に努め、患者中心の恕(おも)いやりのある医療を提供します。
名 称 | 八戸市立市民病院 |
---|---|
所在地 | 〒031-8555 青森県八戸市大字田向字毘沙門平1 番地 |
TEL | 0178-72-5111(代表) |
FAX | 0178-72-5115(管理課) |
院 長 | 三浦 一章 |
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病床数 | 584 床 |
利用者数 | 1 日平均患者数( 平成24 年度) 入院 523 人、外来1,007 人 |
*記載の情報は取材時点(2014年1月)の情報です
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